イラストレーター鈴木周作【公式】

北斗星乗車記・乗車記録(#306~#310) Boarding record and Travel diary of Hokutosei

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通算 乗車日/列車 乗車記
#310
2008.7.18
北斗星(上り)
札幌→仙台
(B1)

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北斗星北斗星で行く青森の旅

 札幌から岩手・青森方面への旅行にも意外と重宝していた「北斗星」。
 3月のダイヤ改正で盛岡・一ノ関に停まる列車が無くなり少々不便になってしまいました。
 現在では仙台が本州最北の停車駅。
 それでも敢えて「北斗星」で青森に向かってみることにしました。



北斗星

 あれっ、ロビーの雰囲気が変わったかな?と思ったら、ソファの生地が全て張り替えられていました。
 細かい柄の入った淡いスミレ色、なかなか上品な印象です。
 他に変わったところはないようですが、これだけでも随分見違えるものですね。

北斗星

 約2ヶ月ぶりのB個室「ソロ」利用。
 最近は個室不可の割引きっぷを使う事が多かったのですが、今回使った「みちのくフリーきっぷ」は別料金で寝台券を買わなければならないタイプなので、それならば当然個室を…というわけです。
 特に今回の5号車は「ソロ」車両の中でも比較的後年の製造なので、内装も使い勝手も実によくまとまっていて好印象。
 たまの贅沢の「ロイヤルルーム」はともかくとして、私にとって最も馴染み深くて居心地良いのがこのお部屋です。

北斗星

 いつものように函館を過ぎてから食堂車に行くと、メニューも開かぬうちに顔馴染みのアテンダントさんが「ビーフカレーですか?」…すっかり覚えられてしまったようですね(笑)。
 そのうち一度「いつもの!」とオーダーしてみようかと思っているのですが…。

北斗星

 ふと見るとテーブルランプが1つだけ消えていました。
 おゃおゃ球切れかな?と思ってよく見ると、テーブルの下に隠れていく電気コードの途中にこんなスイッチがついていました。
 家庭用の電気スタンドと同様のON・OFFスイッチ、調光不可のシンプルなものです。
 眩しいと感じるお客さんが自分で消せるように、との配慮なんでしょうか?
 そしてコードの先端は壁に設けられたいかにも家電用のコンセントに差し込まれていました。
 こういう仕組みだったんですね、初めて知りました。

北斗星

 朝の松島。
 この時期だけの車窓の楽しみです。

北斗星

 早朝5時前に仙台到着。
 当然ながら4月に訪れた時よりも随分明るくなっていました。
 同じ早起きでも真っ暗な駅に降りるよりは何となく気が楽なものです。

 さて、ここから青森方面に戻っていくわけですが…。

東北新幹線

 仙台発の下り始発は6時37分の「はやて95号」。
 待ち時間は少々退屈ですが乗ってしまえば寝るだけです。
 一ノ関7時12分、盛岡7時52分、終点八戸には8時37分。
 函館行きの「スーパー白鳥95号」がすぐに接続しますからそのまま青森方面にも向かえます。
 ちなみにダイヤ改正前の「北斗星4号」なら盛岡到着は4時37分…やっぱり随分遠くなってしまったようです。

北斗星

 ご参考までに今回の切符のお話を少々。

 北東北3県、東北本線でいえば一ノ関まで乗り放題の「みちのくフリーきっぷ」。
 札幌人にとって実に便利な切符です。
 現地までは特急・急行の普通車指定席が使える他、別料金を払えば寝台車も利用可。
 「北斗星」で北東北方面に向かう時にもしばしば利用させて頂いたのですが、フリーエリア内の盛岡・一ノ関には停まらなくなってしまった現在では、 特急寝台料金の他、一ノ関→仙台間の乗り越し運賃を別に払わなければなりません。
 加えて仙台からフリーエリアに戻る際の運賃と、新幹線を使う場合には特急料金が必要になります。

 詳しい内訳は省きますが、ダイヤ改正前、盛岡・一ノ関で降りられた頃に比べると片道あたり5,030円ほど割高になってしまった計算です。
 また、札幌から青森行き夜行急行「はまなす」のB寝台を利用した場合とでは片道あたり6,660円ほどの差となります。
 なかなか微妙な金額ですが…やっぱり乗れるものなら「北斗星」に、と思ってしまうのは私だけでしょうか?

---<参考>---------------------------------
・みちのくフリーきっぷ 20,800円
・北斗星 特急寝台券 9,190円
・一ノ関→仙台 乗車券 片道1,620円/往復3,240円
・仙台→一ノ関 新幹線自由席特急券 1,790円
------------------------------------------

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#309
2008.7.3
北斗星(下り)
上野→札幌
(B下)

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北斗星帰路もまた厳戒態勢

 ホームの端で荷物を積んだ台車が入線を待っていました。
 夜行列車で速達荷物を運んでくれる「ブルートレイン便」。
 昔は全国各地で当たり前のように見られた光景ですが、今では「北斗星」の他、同じく上野発の「あけぼの」だけに残る貴重なサービスです。
 こんなところにも決して只のリゾート列車ではない、輸送の使命を担って走り続ける「北斗星」の姿が垣間見えるようで頼もしく映ります。
 往路同様、北海道洞爺湖サミットを控え厳戒態勢の「北斗星」。
 少しばかり緊張感の漂う道中になりそうです。


北斗星

 今夜の寝台は全て売切れ、ロビーカーは発車前から満員。
 平日とはいえ、いよいよ夏のシーズンを迎えて車内は結構な混雑ぶりです。
 発車してまもなく食堂車にシャワーカードを買いに行きましたが今夜の分は既に残り数枚、それも大宮を過ぎる頃には売り切れてしまったようです。

 パブタイムもオープン早々満席になってしまったようですが、少し遅らせて22時過ぎに行くとちょうど1席空いてすぐに座ることができました。
 往路でもそんな感じだったと思います。
 最近、読みが当たるのでちょっと得意になってます(笑)。
 とにかく先のダイヤ改正・減便以降、色々な意味で賑わいを増しつつある「北斗星」の旅。
 自分なりの利用術を早く会得したほうが良さそうですね。

北斗星

 確か往路の車両には無かったと思いますが、今日の食堂車の壁には時計が掛かっていました。
 食事中も下車駅を気にしなければならないからか、それとも単に全車両に付ける予算が無かったのか、国鉄時代から食堂車にだけは決まって時計が設けられていたようです。
 こういうささやかな伝統が今も残っていると何となく嬉しくなります。

 そういえば入口扉のスリガラスの感じも微妙に違っているようです。
 いつも扉を開ける時、向こう側に人がいるのか分かりにくくて神経を遣うところだったのですが、今日の車両は目隠し感を保ちつつも向こう側がちゃんと見える程度になっていて、実にバランスよく造られているなぁ~と少し感心してしまいました。
 3月までは赤いテーブルランプの食堂車を繋いだ列車ばかり好んで利用していたので、実はこのタイプの食堂車にはあまり馴染みが無かったのですが、よく観察するとまだまだ色々発見がありそうですね。

 ついでにもうひとつ。
 今夜のパブタイムのテーブルには灰皿は置かれていませんでした(→08.7/1参照)。
 最初から並べておくか、お客さんに求められた時に出すかはその日の乗務員さんの流儀だったようです。

北斗星

 「北斗星1号」の面影発見!?
 使い終わったシャワーカードをしげしげと眺めると、列車名の下に手書きで「1レ」と書き添えてありました(→08.4/19参照)。
 おやおや、アテンダントさんがつい習慣で書いてしまったのかな?…と思って往路のカードも改めて見てみると、こちらには「2」と書かれていました。

 実は列車名としての「北斗星1号、2号…」は消滅してしまいましたが、JRの運行管理に用いられる列車番号としては、今でも下り「1列車」、上り「2列車」…だからこの便は「北斗星1号」ではありませんが、「1列車」と呼ぶのは正しいわけです。
 そういえば私も乗務員さんとお話しする時、「下り」「上り」じゃなくて「1列車」「2列車」と言って自然に流れていた気がします。
 どうでもいいようなお話ですが、永年の北斗星フリークとしては「1列車」と聞くとやっぱりホッとするものです。

北斗星

 やはり早朝、青森の蟹田から制服警官の方々が乗り込まれました。
 人数から察するに、上り「北斗星」で着いた後、そのまま下りで函館まで折り返すことになっているようです。

 蟹田で交代された函館車掌所の車掌さん、確か随分前に「北斗星」の車中でご一緒させて頂いた方でした。
 「北斗星」「カシオペア」専属のコックさん、アテンダントさんとは異なり、他の色々な列車にも乗務される車掌さんとは毎月乗り続けてもなかなかまたお目に掛かれるものではないのですが、それだけに、恐らく数年ぶり?の再会が本当に嬉しく感じられるものです。
 いささか手前味噌ながら、こういう時「絵のお客さん」とすぐに思い出して頂けるのも、この稼業のささやかな役得ではあります。

 朝の津軽海峡は海霧で真っ白。
 函館駅でホームに降りてみるといつもより強烈な潮の香りが漂っていました。

北斗星

 モーニングタイム。
 やはり6時半のオープンからしばらくはロビーで数組並ぶほどの混雑でしたが、長万部あたりで出掛けたらタイミングよく4人席がひとつ空いていました。
 その後はそこそこ賑わいながらも満席にはならなかったようですから、やっぱり少し遅めに行ったほうが良さそうです。

 最近はいつも和食でしたが、今日は久々に洋食を頂きました。
 温かなスープの甘みに旅の疲れも癒されます。

北斗星

 サミット間際の洞爺駅。
 駅構内は至って静かな印象でしたが、周辺では「西部警察」よろしく警察車両が大挙集合していました。

北斗星

 南千歳に着く直前、新千歳空港に降りる旅客機が轟音と共に「北斗星」の真上をかすめていきました。
 この列車に乗るたびに、いつも決まってここで旅客機が通過するような気がします。
 たまたまそういうダイヤなんでしょうか?

 駅のまわり、というより空港のまわりは見る限りでは洞爺以上に厳しい警戒ぶり。
 確かに洞爺のサミット会場は駅からかなり離れているのに比べて、こちらではVIPの専用機がすぐ目と鼻の先に降りるわけですから…。
 南千歳からは私服(スーツ)に腕章のJR社員さんも乗り込んで車内巡回が始まりました。
 このあたりも往路と同様です。

北斗星

 今年の3/13、北斗星20周年記念日の「2号」でもご一緒させて頂いた今日のアテンダントさん。
 伺えば今月限りで乗務を降りられるそうです。
 せっかくお知り合いになれた方の引退はいつも淋しいものですが、もう一度車中でご挨拶できたのは幸いだったかも知れません。

 数え切れない程の乗務員さん達が想い出を重ねながら受け継いできた「北斗星」。
 絵描きとしてそんな想いも含めてしっかり伝えていかねばと思っています。

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#308
2008.7.1
北斗星(上り)
札幌→上野
(B下)

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北斗星サミット目前!厳戒態勢

 首都・東京と道都・札幌、それに開催地である洞爺をダイレクトに結び、しかも途中には青函トンネルという超重要施設もあるのですからこの警戒も無理のないことでしょう。
 北海道洞爺湖サミットを数日後に控え厳戒態勢の「北斗星」、道中でもまた色々な事が起きていたようで…。


北斗星

 札幌を出るとすぐに私服(スーツ)に腕章をつけたJR社員さんが巡回を始めました。
 くずもの入れ、電話室、シャワールームまで覗き込む念の入れようです。

 少し落ち着く頃を見計らって食堂車にシャワーカードを買いに行くと懐かしい方がおられました。
 今年の3/13、北斗星20周年記念日の「2号」から、私事ながら300回目の記念乗車となった翌3/14の「1号」最終運行まで丸々1往復ご一緒させて頂いた札幌のアテンダントさん。
 車中でお目にかかれるのはそれ以来だったと思います。
 車掌さん、コックさん、アテンダントさん、色々な方とお会いできるのはそれぞれに嬉しいものですが、節目の便でお会いした方との再会はやっぱり感慨深いものがありますね。

北斗星

 苫小牧でちょっとしたアクシデント。
 動き始めた列車が突然停止すると、「業務放送、11号車でドア開けてくれるかい?」と微妙に北海道弁交じりのアナウンス。
 どうやら乗り遅れたお客さんを救済したようです。
 ちなみに「~かい?」というのは北海道でよく耳にする言い回し。
 乱暴に聞こえるという方もおられるようですが、慣れるとむしろほのぼのとした温かさが感じられる言葉です。

北斗星

 車内販売で初めて「Suica」を使ってみました。
 普段は使う機会がない…というか、そもそも北海道ではまだ導入されていないICカード乗車券。
 去年上京の折に土産に買った記念カードを引っ張り出して、「今回こそ使ってやるぞ!」とわざわざ携えてきたものです。
 使い方も残額も分からず少々戸惑ってしまいましたが、試してみると実に便利なものですね。

北斗星

 洞爺駅は歓迎ムード。
 駅周辺は警察車両が走り回って厳戒態勢です。

北斗星

 函館からは制服警官の方が大勢乗り込まれました。
 やはり青函トンネルを警戒しているようです。

 機関車交換を済ませ定刻21時48分、発車時刻になりましたが列車は動かず、何かあったのかとホームを覘いてみると「乗換え列車の遅れの為、5分ほど遅れての発車となります」と構内放送。
 やがて札幌からの「北斗20号」が隣のホームに滑り込むとお客さんが1人、荷物を抱えてこちらのホームに走ってきました。

 しかし…定刻では「北斗20号」の函館着は21時48分で「北斗星」には接続しないはず。
 なのになぜ今日に限って発車を遅らせてまで接続を取ったのでしょう?
 あるいは旭川か帯広か、より遠方からの列車が遅れて「北斗星」に乗れなかった方が後続列車で追いかけてきたのかも知れませんが、真相は謎のままです。

 そうそう、点け忘れか球切れか、最後尾のテールサインが消えたままでした。

北斗星

 パブタイムの食堂車では各テーブルに灰皿が置かれていました。
 今まではお客さんから求められた時だけ出していたような気がしますが、なるほどこれなら「今は吸っても良いですよ」とすぐ分かりますね。
 実際、ほぼ満席の食堂車の半分ほどのテーブルから紫煙が漂っていたようです。
 タバコが苦手な私としては正直複雑な心境ですが…分煙、というより禁煙が徹底された現在の車内では、この程度は我慢しなければいけませんね。

 洞爺湖サミット記念ワイン、グラスで500円也。
 残念ながら下戸の私には無縁の存在です。。。

北斗星

 翌朝、山間部では突如濃霧に包まれたりもしましたが、概ね梅雨らしからぬ見事な青空でした。
 上野に着いたら暑そうですねぇ。
 岩手・宮城内陸地震の直後はかなりの区間で徐行運転をしていたようですが、今日はここまで定刻通りです。

北斗星

 食堂車のモーニングタイム。
 今日のアテンダントさんはお皿を斜めに置いてくれました。
 ちょっと遅めに出向いたせいか、いつもよりは少し空いていたようです。

北斗星

 終着間際に覘いてみると食堂車はただならぬ雰囲気!?
 上野到着後に「組み替え」…つまり検査か何かの都合でしょう、食堂車を別の車両に交換するのだそうで、その為全ての什器・食材などを降ろさなければならないわけです。
 こういう作業がしばしば発生するのも「走るレストラン」の宿命、本当にお疲れ様です。

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#307
2008.6.11
北斗星(下り)
上野→札幌
(B下)

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北斗星ブルートレインブーム?

 帰りのベッドは最後尾11号車の3番下段。
 これより後ろの席に乗客の姿は無かったようですから、往復とも文字通り「末席を汚した」とでも言いましょうか…?
 ところで先のダイヤ改正以降、時刻や客車編成だけでなく、列車そのものの雰囲気も微妙に変わってきたのかな?と感じる事があります。
 食堂車、ロビーカーは常時満席、駅ではカメラの放列…移動の足というよりも「北斗星」に乗ること自体が目的のお客さんが多くなっている気がします。
 ふた昔前の青函トンネル開業当初や、四半世紀以上前の「ブルートレインブーム」を髣髴とさせる熱狂ぶり…と言って通じるのは三十代以上の方ですね(笑)。


北斗星

 今夜のパブタイムも食堂車は満席!
 40分ほどロビーで待って、オーダーストップ直前になってようやく席につけました。
 新メニューの梅ワイン、残念ながら下戸の私には無縁の存在です。

北斗星

 こんなところに荷物掛け(?)があったんですね!!
 20年間乗り続けてきたのに今まで全然気付きませんでした…。

北斗星

 今の季節、青森を過ぎたあたりで早くも夜が明けます。
 本州側から見る津軽海峡の朝陽、ちょっと新鮮な光景です。

北斗星

 青函トンネルを抜ける頃にはすっかり陽も高くなっていました。
 本州側と北海道側、1本で2度楽しめる津軽海峡の朝の風景。
 海岸線の表情も随分異なるようですね。
 ちなみに今日は最後尾車両の最後尾席。
 カーブにかかると先頭の機関車までよく見えて何となく嬉しくなります。

北斗星

 函館駅での機関車交換。
 カメラを向けるお客さんの姿は毎度見られる光景ですが、今回はいつも以上に賑わっているようです。
 「北斗星」自体を楽しみに乗られる方がそれだけ多いという事でしょうか?

北斗星

 雲ひとつない見事な快晴。
 車窓の大沼国定公園は初夏らしい爽やかな風景です。

北斗星

 朝食専用の四角いお皿。
 水平に置くか斜めに置くかはアテンダントさんの個性でしょうか?
 個人的には斜めに置いて頂けるとお椀の納まりが良いように感じます。

 最近ではいつも満席の朝の食堂車ですが、今日は少し遅めに覘いてみたら割と空いていました。
 朝の長い下り列車、どうやら伊達紋別あたりでゆっくり出掛けるのが良さそうです。

北斗星

 札幌到着。
 ここでも大勢のお客さんがカメラ片手に機関車に駆け寄ってきました。
 先頭の機関車は検査上がりでしょうか?
 汚れひとつないピカピカのボディが初夏の陽射しにまぶしく輝いていました。

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#306
2008.6.8
北斗星(上り)
札幌→上野
(B下)

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北斗星イヌ顔の機関車

 今宵のベッドは1号車16番下段。
 先頭の客車のしかも一番前でした。
 ドアの向こうは機関車の鼻先、横になると壁越しにエンジンの響きまで伝わってくる席です。
 今となっては旧世代の機関車、重くて長い「北斗星」客車12両を懸命に牽く姿は若手に負けじと必死であがくベテランアスリートにも重なりますが、間近に見るその表情はヌ~ッと鼻を突き出す老犬のようでどこか可笑しくもあります。


北斗星

 函館駅で機関車交換。
 大きく弧を描いた夜のホームは何度見てもなかなかの雰囲気です。
 ちょうど車内販売のワゴンを押して回ってきた新人アテンダントさんがデッキの窓越しに興味深そうに覘いておられました。

北斗星

 深夜0時過ぎ、青森の信号場に着くと隣の線にはいつもはいないはずの特急列車が1本。
 よく見ると車内には乗客を乗せたまま。
 懐中電灯を手に線路を調べる大勢の職員さんや、線路際にはパトカーの赤色灯も見えて只ならぬ雰囲気です。
 気象災害とか車両故障なら、まぁそれも旅の思い出と割り切ることもできますが、たとえ自分の乗った列車でなくても人身事故だけはやっぱり嫌なものです。
 結局30分ほど経ったところで特急列車はようやく運転再開。
 我が「北斗星」も線路点検等々の影響でかなり遅れての出発となりました。

北斗星

 函館からは進行方向が変わって1号車が最後尾です。

 朝6時前、定刻ならそろそろ福島に着く頃ですが、目覚めるとどこかの小駅に停車中。
 デッキに出て様子を窺うと、ついひと月前に白石川堤の一目千本桜を見に訪れた大河原駅でした。
 「途中2件の人身事故の影響で只今32分遅れで運転中です…」
 朝一番の車内放送はいつもより若干早く6時20分に流れました。

北斗星

 今朝も食堂車は結構な賑わいです。
 3往復あった頃にはコックさん+アテンダントさん2名のギリギリ3名で回していた時期もあったようですが、最近ではアテンダントさんが4名ほど乗務されている事が多いようです。
 確かに2名ではワゴンサービスまでは難しいでしょうし、食堂車自体もこの混み具合ではそれなりの人手が必要なのかな?と、つい余計な詮索もしてしまいますが、ともかく最近の活気溢れる盛況ぶりは頼もしく映ります。

 車窓はしっとりとした雨模様。
 そういえば本州はもう梅雨だったんですね。

北斗星

 終着間近の大宮~上野間。
 ダイヤの乱れの影響か、珍しい電車が「北斗星」を追い抜いていきました。

北斗星

 「最近見ないけど乗ってるの?」と、随分前からお世話になっているコックさんに言われました。
 色々な事が変わりつつある現在、こうして一緒の汽車に長く乗り続けてきた方とまたお会いできると何となくホッとします。
 一方で、新しく加わられた乗務員さんの清々しいお仕事ぶりに出会える機会が増えたのもまた嬉しい事です。

 この汽車と、汽車で働く皆さんにはいつまでも元気であって頂きたい…
 ダイヤ改正・減便から早3ヶ月、青臭い言い方ですが今の私の偽らざる心境です。

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【寝台】 A1:1人A個室ロイヤル A2:2人A個室ツインDX B1:1人B個室ソロ B2:2人B個室デュエット B上:B寝台上段 B下:B寝台下段

▼~H20/2008.5.14(305回目) ▲H20/2008.7.21(311回目)~ ■乗車記録メニューへ

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